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Projecct STORY 困難を乗り越え作り上げた、明日に続く道

当社が担当したプロジェクトと、それにまつわるストーリーをご紹介いたします。

Project03

大船渡港茶屋前地区埠頭用地災害復旧工事

DATA

工事期間
平成25年3月7日~平成26年8月21日
工事エリア
岩手県大船渡港の埠頭用地
施工延長388m×350m(外周延長約1,500m)
延べ人数
10,158人
延べ面積
約 135,800㎡

悪戦苦闘の楽しい533日間 東日本大震災で被災した、大船渡港茶屋前地区埠頭用地ほかの災害復旧工事でした。同エリアで岸壁復旧工事3件、埠頭使用業者2社が競合したため工期延長を余儀なくされましたが、復興を前に進めるため、工期短縮に有効な新工種導入の提案をし、交渉を進めました。また労働者・ダンプトラック不足を解決するために、寄せ集めの技術者・オペレーターと施工班での作業は、協調・融和を模索する日々。チーム一丸となって邁進した悪戦苦闘の楽しい533日間でした。

Profile

菊池 裕一

青森県出身。入社35年目。新入社員で東北に配属され、一時期関東支店に転勤になりましたが、その後東北に帰任し国土交通省工事・NEXCO工事を担当。2015年からは本社で新入社員の教育担当として鋭意奮闘中です。

「広いが狭くやりにくい」が第一印象 2013年3月12日。まずは現状把握と関係各社との打合せ資料とするため、ドローンを飛ばし現場の全体写真を撮影。震災から2年を経過しても1km四方はまだ何も復興されておらず、荒涼とした風景に震災の爪痕を感じました。
施工区域を埠頭ヤード3つ、外周道路と合わせて合計4つに区分けし、期間内で施工可能になるように関係各社と協議。この時、セットフォームからスリップフォーム(SF)への変更や、埠頭・臨港道路関係をコンクリート舗装からアスファルト舗装に変更することが指示されました。
スリップフォーム工法によるコンクリート舗装は(78,524㎡)と高強度PRC版舗装(10,588㎡)は、いずれも一工事では国内最大規模です。

宿舎が足りない、土地がない 準備段階で、工事を左右するとても大きな問題が4つありました。まず第一は、工事事務所と職員および作業員宿舎を立てる土地の問題。職員宿舎は民宿や旅館を利用しながら民間のアパートを手当しましたが、津波に被災し絶対数が足りない上に復興工事が一度に動いたため、現地で探すのは困難を極めました。やむを得ず内陸に近いJVパートナーの事務所・社員寮や知己の機械リース業者の敷地に用意してもらった仮設住居を利用して急場を凌ぎました。また工事事務所については、これも数十年の付き合いの地元の商社の役員にお願いして、建設予定を先送りまでしていただいて、自社社屋建設用地を、格安で賃貸させていただきました。

好条件を提示し大型ダンプトラックを確保 第二は、施工班と大型ダンプトラックの不足。人員は地元で知己と他県からの調達であらかた集まりましたが、その時点で型枠工8名が足りませんでした。またダンプトラックは隣の陸前高田市で大規模土工が行われていたため業者間の取り合いとなりましたが、宿舎の充実と燃料の無償支給を提案することで7台を確保することができました。
そして第三は、工程の問題です。先行発注の岸壁工事2件の他もう1件の発注が予定されており、関係各者との協議が必須であり急務でした。

大幅減工も、別提案が採用され増工に そして第四は、発注者の都合による大幅な減工。主要工種の一つである盛土工(購入土)が震災除塩土砂*1(発注者支給)となり減工に。さらに、他工事と競合するエリア部分の減工も予想され、このままではますます減額・減工となってしまうおそれがありました。そこで、当初設計のコンクリート舗装工のセットフォーム(250㎡/日施工)をスリップフォーム(SF工法、660㎡/日施工)に変更することを提案。これにより不足していた型枠工は不要となり、労務問題も解決しました。また冬期に施工するエリアについては、高強度PRC版に変更し品質の均一化を図りました。そして外周道路・エリアをアスファルト舗装に変更。これは基本設計を大幅に変更することになるため、検討にかなりの時間を要しましたが、主旨と合理性に理解を示された発注者のおかげで提案がほぼ採用され、逆に増工となりました。

夏祭りのにぎわいに復興の兆しを見た 工事がすべて完了し、完成検査を待つばかりであった2014年8月1日、「三陸・大船渡夏まつり」が開催され、会場の一部(駐車場)として当現場を使用したいとの申し出が発注者を通じてあったので、快く引き受けました。実は2013年にも同様の依頼があったのですが、当時は工事の真最中で安全管理上難しくお断りしたという経緯があったのです。まつりはとても盛況で、復興の息吹が感じられるような、にぎやかであでやかなものでした。
現在でも、まだまだ震災の爪痕はあちこちに見受けられますが、2015年より大船渡も隣の陸前高田も街づくり工事が本格的にスタートしました。工事に携わった一人として、これほど嬉しいことはありません。同じ東北人として、一日も早い復興を望みます。

施工内容

盛土工(利用土・除塩土砂)、盛土運搬、下層路盤工、上層路盤工(M-40) 、上層路盤工(瀝安)、基層、表層、路盤工、コンクリート(セットフォーム)舗装工コンクリート(スリップフォーム)舗装工高強度PRC版工、側溝工、集水桝工24ヶ所、SOLAS施設工(フェンス、照明、配線)1式
仮設工事1式

施工方法

スリップフォーム工法(SF工法)
高強度PRC版工法

*1 震災除塩土砂:震災の津波により海水を被った畑や水田、あるいは一般土砂を、科学的に処理し塩分を取り除く処理をしたもの。大船渡地区では対岸の太平洋セメントがこの技術を開発し、実用化にこぎつけた。

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