今日はクリスマス。いよいよドライブの開始である。タクシーでナショナル空港に出かけ、レンタカーの事務所で手続きをする。今回はマーキュリーの新車。車のパネルの操作などの説明を聞いた後、S君が運転席に座りアクセルペダルを踏む。私は例によって右側運転の水先案内である。一つ覚えのポトマック川沿いのワシントン記念パークウエイヘ慎重に入る。S君は初めてのアメリカの運転に緊張はしているものの、思っていたより簡単に走れることが面白いのかいささか浮き浮きした面もちでもある。
この道路を20年前に走った時はアスファルト舗装も立派で、森の中を通る道は如何にも首都に相応しいパークウエイ(公園道路)の雰囲気があった。しかし2年前に久しぶりに走った時には、アスファルト舗装は無惨にもクラックだらけになっており、穴凹の補修があちこちに見られた。今回は全てオーバーレイされていて、残念ながら破損を詳しく見るには遅かった。
ベルトウエイ、首都環状道路インターステートI495に入る。この高速道路は東海岸を縦断するI95と途中で一緒になってワシントンの環状道路を形成している。直径が25キロぐらいであるから、東京で言えば外環程度の規模であろうか。ただ1960年代にはほぼ完成しているから、舗装はすでに30年近くを経過している。2年前にバスで一部を通った時には、写真-3のようにほとんどのアスファルト舗装にクラックすなわち“わだち割れ”'らしきものが認められた。

| 写真-3:ワシントンD.C.の環状道路I495のアスファルト舗装の2年前の破損状況。わだち割れらしいクラックが全線にわたってあった。 |
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また、この路線では、かなりオーバーブリッジがある。松野セオリーによれば、オーバーブリッジの下の夏季に日陰になる部分で、アスファルト舗装のわだち割れは消えているはずである。
今回のドライブの主な目的の一つに、このオーバーブリッジ下のわだち割れの状況を子細に確かめることがあった。そこで朝からほとんど一日をかけてベルトウエイの全線と、更にボルチモアヘのI95号線も走って見たが、全て徒労に終わった。私が2年前に見たI495のアスファルト舗装は全てオーバーレイされていたし、それ以外の部分も新しい舗装なっていた。荒廃するアメリカと言われながらも、金が付いて仕事を始めると実に速い。全て首都にふさわしいように直してしまったのだろう。目的が空振りに終わって最初から少々気が抜けた。
ベルトウエイの通っているメリーランド州はアメリカ式の排水性舗装(Open
Graded Friction Course 以下 OGFC)を盛んに施工している州の一つである。最大粒径は10mmから13mmで、中間粒径も多く、先年ジョージア州やフロリダ州で見たのと同じような典型的なOGFCの面である(口絵参照)。曲線部では片側5車線が一定の片勾配で施工されているので、中央分離帯側の車線の雨水が路肩まで流下するにはかなりの時間がかかる。少々の路面水はタイヤ下の空隙に押し込まれるので、すべり摩擦係数にそれほど影響はないという考え方なのであろう。また路面に滞水するような大雨の時には車は当然スピードを落とす。アメリカのOGFCは雨天時のすべり抵抗が主体であって、吸音効果については考慮されていない。念のため。
心残りであるが、ベルトウエイを離れて、I95を南下してヴァージニア州に入る。この辺りの舗装は全てコンクリート舗装上のオーバーレイであり、リフレクションクラックが続くが、ほとんど走行性には影響がない。フレドリックスバーグの町外れのモテルにチェックインする。部屋に入った途端に、初めてアメリカのモテルなるものに泊まることになったS君が怖くないかと言い出す。そういえば部屋の窓などピストルを持ったのが破ろうと思えば簡単なことである。大丈夫だ、とは言ったもののこちらもいささか気にはなった。クリスマスで近くのレストランも全て休みだから、また部屋での一杯になる。飲んでしまえば強盗の心配も忘れて寝るだけだ。本日の走行距離297マイル、475キロ。
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