目地、ジョイント、継手、みんな英語では'''joint'''です。つまり、つなぎ目、あわせ目です。目地は石積みやレンガ積みの合わせ目の隙間、これらはどうしてもできてしまう目地です。石積みは古来からあるので、目地という言葉も昔からあったのでしょう。

コンクリート舗装の目地、あんなもの無ければいいのにと思われる方は多いでしょう。でも無しというわけにはいかないのです。コンクリートは普通、固まるときに収縮します。('''誤りの指摘がありました。「乾燥して固まるときに、収縮します」と書いていましたが、乾燥して固まるのではなく、化学反応の結果固まるので明らかに誤りという指摘がありました。確かにそうです。''')コンクリート舗装をベタに目地無しで作ると、収縮のため、不規則にひび割れができて、第一見栄えが悪いし、そこから水が下の路盤に入って、いろいろ悪さをします。土砂を流し去るくらいならまだ、いいのですが、上のコンクリートが自動車が通るたびに動いて、水があるとポンプの働きをして、水と一緒に土砂も吹き上げて('''ポンピング'''現象とか、'''ポンピングアクション'''と言います。**にすると'''噴泥'''らしいです。)、最後にはコンクリートの下に空洞ができます。そこで、5〜10m間隔でわざわざ切り目をつけます。これがコンクリート舗装の'''収縮目地'''です。水が入らないように、アスファルトの類を詰めておきます。それから、施工の途中で雨が突然降ってくると打ち切らなければなりません。とりあえず、板を差し込んでおきますが、翌日、続けてもどうしてもちゃんとは繋がりません。そこで設けるのが'''施工目地'''です。どうしても目地がいやなら、'''連続式鉄筋コンクリート舗装'''というのがあります。略語で言うと、'''CRCP'''になります。長いものは2kmくらい、目地を作りません。これには、ひび割れができないわけでなく、近づいて見ると、やっと見える'''ヘアクラック'''というのが無数に入っています。鉄筋が入っていますが、この鉄筋は普通の鉄筋と違って、強くするためというより、ひび割れがひろがるの防ぐためのものです。一方、夏場はコンクリートも膨張します。ほおっておくと、今度はそっくりかえって大変なことになります。そこで、端の方に膨張を吸収する'''膨張目地'''というのを設けます。'''伸縮目地'''ともいいますが。でも、連続鉄筋コンクリート舗装は、繋がっていることに意味があるので、やれ、水道管の埋設だといって、掘り返すのも大変だし、舗装ががたがたになってしまいます。そんな恐れのないところでしかやれません。

#ref(joint.gif,right,around,nolink,ジョイント);
アスファルト舗装の場合はどうなのでしょう。アスファルト舗装の場合は目地がないのが特徴でなるべく継目は作らないようにします。ところがなぜか、'''ジョイント'''というのはあります。道路の全幅をいっぺんには施工できないため、1車線づつ舗装したりしますが、当然次の車線を舗装するときにはつなぎ目がてきます。このつなぎ目がジョイントです。普通は前の舗装が冷えてしまった状態で施工し、'''コールドジョイント'''と言います。施工直後は見えませんが、時間が経つと縦方向にひびが入ります。道路の全幅を使って2セットの舗装機械を少しづつずらして前の舗装がまだ熱いうちに次の舗装を施工するのを'''ホットジョイント'''と言い、この場合はひび割れはできません。コールドジョイントをできるだけホットジョイントに近づけようと使われるのが'''ジョイントヒータ'''、正式には'''アスファルトジョイントヒータ'''で、赤外線ヒータみたいなのを[[フィニッシャ]]に取り付けておいて、先に施工した舗装の端を暖めるわけです。
#clear
コンクリートでもコールドジョイントという言い方がありますが、これは先に打設したコンクリートが固まって締まってから、打ち足すことです。これも良くはありません。コンクリートのホットジョイントというのは無さそうですが、最近、そういう言葉も使われているようです。この場合は、固まらないうちに打ち足すということになります。

さて、継手ですが、これは、単に繋ぐだけの目的のものもありますが、それなりの部品として作られたものを継手というようです。橋も温度によって伸び縮みします。そこで伸縮継手というのを設けます。短い橋なら鉄板を間隔を空けて突き合わせるようにする構造になっていますが、長い橋ではそんなことをするとタイヤがはまり込んでしまいます。明石大橋のような橋なら、タイヤがはまり込むどころではなく、車も落ち込むことになります。そこで、櫛をかみ合わせたような構造の継手が使われます。話が舗装からはずれてきましたので、このへんでやめときます。

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''06/09/07''
このところ目地の由来とか語源を求めてこのページに来る人がかなりいるようです。ネットで探してみましたが、このページがトップに出てきてしまってままなりません。かろうじて見つけたサイトは掲示板でいつ消えるか分かりませんのでリンクしませんが、目には割れ目とか合わせ目、切れ目、潮目など、「物と物とのすき間」という意味があるようです。地の方は多分、生地とか木地とか元になる面を指しているのではないでしょうか。目の方は間違いないでしょう。なぜ、地なのか?想像ですがただの隙間なら無いにこしたことはないと思いますが、目地はある面積・地がないと接着とか伸縮を吸収する働きができません。ですから目地は言い換えれば隙間の地でしょう。

*英語表記 [#ydfdd89b]

**&tag(ポンピング(アクション),噴泥); [#sbdc355c]
&tag(pumping (action));

**&tag(収縮目地); [#vb37b901]
&tag(contraction);

**&tag(施工目地); [#m5ea3680]
&tag(construction joint);

**&tag(連続式鉄筋コンクリート舗装); [#w0f44e57]
[[Continuous Reinforced Concrete Pavement]]

**&tag(ヘアクラック); [#db2f5bae]
&tag(hair crack);

**&tag(膨張目地,伸縮目地); [#pfbd8028]
&tag(expansion joint);

**&tag(コールドジョイント); [#uc3f44e9]
&tag(cold joint);

**&tag(ホットジョイント); [#b345d914]
&tag(hot joint);

**&tag(アスファルトジョイントヒータ,ジョイントヒータ); [#k90e202d]
&tag(joint heater, heater for joint of aspahalt pavement);

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*関連用語検索 [#qfb7ba37]
&tag(収縮目地,ヘアクラック,膨張目地,コールドジョイント,ホットジョイント,アスファルトジョイントヒータ,フィニッシャ);
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#enull{{
&tag(舗装一口知識);
&tag(舗装一口知識,メ);
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