建設用語小辞典

矢蛸(やだこ)

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意味

杭を地表より下あるいは水中に打つとき、仮に継ぎ足す鉄製の筒。やっとことも言います。このやっとこを用いて杭を打つのをやっとこ打ちと言います。この矢蛸の由来・語源ですがネットで探しても見つかりません。矢(や)については別途書いたとおりですが、蛸については私の想像ですが、くい打ちとか建物の基礎の地固めを人手でやっていた時代、よいとまけというのがあって、木でヤグラを組んで縄で大きくて丈夫な短い杵みたいな木に四方八方から結びつけて、これをモンケンとして、滑車を通してみんなでヨイトマケとかけ声をかけて引っ張り上げてはドスンと落としていたものです。この短い丈夫な木こそが、四方八方に足のついた蛸だったのだと思います。逆さまになっていますが、多分間違いないでしょう。簡単な蛸はロープなどつけずに人が手で持つ柄が2本とか4本とかついていました。一人で使う蛸は小蛸二人以上で使うのは大蛸です。こういうのは今ではランマーにとって代わられています。よいとまけというのはそういう杭打ち作業のこと、また、それに従事する人夫のことを言っていました。えんやこらとも言っていましたね。かけ声は地域によっていろいろ違うものです。今はせえのという掛け声が全国を席巻していますが、昔の九州ではエンヤコーラ、よいしょっが主流でせえのっは聞いたことがありませんでした。昭和30年代の前半までは東京でもせえのは聞いたことがありませんでした。はじめて聞いたのは四国です。ネットで調べると「西濃運輸の人たちが物を運ぶときに,使うかけ声が広まった」とか「岐阜( 東濃弁)」、「丹波のかけ声である」、「最初は海軍で、ロープをみんなで一緒に引っ張るときにこの「イセー」というかけ声として使われました」とかいう記述が見えます。名古屋以西、四国あたりまではせえのだったようです。これは一斉のせっ、いっせえのせっというのが、元の形で、それがセエノに縮まったということで多分ほんとでしょう。

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