建設用語小辞典

バインダとは?

これらのキーワードがハイライトされています:透明バインダ

バインダはbinder、つまり結合するもの、接着材という意味です。結合材というのが正式です。セメントもその仲間です。アスファルト舗装ではアスファルトがその役目をし、砂利、砂などを結合します。そのため、舗装関係者の間では、単にバインダと言えばアスファルトのことを指します。アスファルトは昔といっても4、50年前までは原油からガソリン、軽油、重油と採って、その残りかすの粘っこいのがアスファルトでしたが、今では、使用する場所の気候、交通条件によって、その軟らかさなどの条件が厳しく規定されて、調合された製品になっています。ここで、もとの原油にアスファルトがどの程度あるのか気になりました。重質油、とか軽質油とかあって違うはずですが、ワシントン大学に資料がありましたので、fileを示しておきます。かなり違うようです。

交通条件が厳しくなるにつれ、近年では、ゴム、樹脂などの改質剤を加えた改質アスファルトがよく使用されるようになりました。改質アスファルトにも主として摩耗対策に用いられる改質I型と主として耐流動、つまりわだち掘れ防止用に用いられる改質II型があります。改質しないものはストレートアスファルトあるいは略してストアスと言ったりします。改質剤の添加の仕方には2通りあり、アスファルトの製造メーカー側であらかじめ添加するものをプレミックス、アスファルトプラントで混合物を製造するときに添加するものをプラントミックスと言います。それぞれ、長短があって、プレミックスの場合は添加した改質剤が分離しないよう、専用車両で混合しながら運搬します。プラントミックスは、少量でも対応できますが、混合が完全にできるか不安があるとされています。決定的な優劣はまだ分かっていません。なお、プレミックスというのは、あらかじめ混ぜるという意味で、改質剤の混合にかぎらず用いられる言葉です。

バインダの接着力はその粘り気、つまり粘度で決まります。特に接着力を大きくした改質型として高粘度(改質)バインダというのもあります。あまり高粘度にすると、こんどは混ぜるに混ぜにくく、施工も困難になったりします。

エポキシ系の樹脂を添加してエポキシアスファルト、またの名を熱硬化性アスファルトというのもあります。熱硬化性樹脂入りアスファルトというのもありますが、似たものでしょう。

カラー舗装用に脱色アスファルトというものもあります。これは本当にアスファルトを脱色したわけではなく、透明な樹脂で作ったバインダで、透明バインダとも言われます。その他、土、砂などを舗装するにはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、小砂利だけの舗装ではアクリル樹脂などもバインダとして用いられます。アメリカでは、バインダとしてのアスファルトをアスファルトセメントという言い方もしているようです。学者レベルの話ですが。そう、いろんな言い方をされても困るのですけど。まあ、アメリカの方は言葉として意味が分かればいいということで、あまり、正式の用語というのはないようでもあります。バインダはくくりつける意味が強いの嫌っているのかも知れません。日本人が勝手にバインダという言葉を使い出したということはないので、勝手な想像ですが、アメリカでも偉い人が、バインダはおかしいとか言い出した結果かもしれません。ヨーロッパではアスファルトというのはアスファルト合材を指すようです。日本でも一般の人はこういう使い方に不自然さは感じないでしょう。バインダとしてのアスファルトはヨーロッパではビチュメンとなります。つまり、ビチュメンがセメントに相当し、セメントで固めたものがコンクリートになるようにビチュメンで固めたものがアスファルトになるというわけです。

イギリスではアスファルトとビチュメンは微妙に使い分けられているようです。学者レベルではアスファルトとビチュメンは同じ扱いのようですが、地方の業者では区別していて、一般の人は、その違いに惑わされることがあるようです。あるイギリスに掲示板に、家の出入り口の舗装の見積もりをしたらアスファルトにするとビチュメンよりも5割高になると言われたが、何が違うのか?というのがあって、いろいろな人が回答していますが、要約すると「アスファルトの方はいわゆる混合物で、ビチュメンの方は石を敷いておいて散布するんだ」、ということのようです。

バインダとしてのアスファルトには石油から精製されるもののほかに天然アスファルトというのがあります。一番有名なのがトリニダッドアスファルト、正確にはトリニダッド・レーク・アスファルトで、トリニダッド島にあるアスファルトを自噴するアスファルトだけの湖から採れます。同様なものがバ−ミュ−ダ島にもあり、ひっくるめてレーキアスファルト(なぜか、レーキと呼ばれます)と呼びます。レイクアスファルトも使われますけど。細かい微粒子を大量に含んだ非常に硬いアスファルトです。グースアスファルト舗装ロールドアスファルト舗装などに用いられます。実際には水分やガス分を取り除いたトリニダッドエピュレというのが用いられますが(epureはフランス語で精製したという意味です)、一般にはトリニダッドレークアスファルトで、この精製したものを指します。ほかにも石灰岩、砂岩にしみこんだロックアスファルト、砂にしみこんだオイルサンド、天然石油が岩の割れ目などに入って熱によって変成したブローンアスファルトに似たアスファルタイトがあります。オイルサンドは、軽質油分が多く、天然アスファルトに分類するのは問題があるかもしれません。前にこの欄でサンドアスファルトを天然アスファルトの仲間に入れていましたが、それは間違いで、砂のような細骨材だけとアスファルトを混ぜたもののようです。アスファルトモルタルワービットモルタルシートアスファルトなども入るようです。しかし、狭い意味では堤防などの斜面の舗装に使うものをいうらしいです。

ところで、日本でも天然アスファルトを産出していたことをご存じですか? 秋田県でかなり大量に出ていたそうです。今は跡地に一枚の看板と油の浮いた池があるそうです。

ブローンアスファルトというのは改質アスファルトの一種に数えられますけど、アスファルトに空気を吹き込み、あるいは触媒も使って、酸化重合させ、常温では固体の硬いアスファルトです。低いながら弾力性もあり(板状のものを手で曲げると簡単に曲がり、離すとじわじわと元に戻ろうとしますが完全には戻りません)、目地材、防水材として用いられます。また粉末状にすることも可能でタックコート用の製品があります。セミブローンアスファルトというのは、軟らかいアスファルトに比較的低温度で空気を長時間吹き込んで(ブローイングと言います。)、やはり酸化重合させたものですが、常温では通常のアスファルトに似ており、わだち掘れに強いアスファルト混合物ができるとされています。

英語表記

バインダ

binder

改質剤

modifying agent

改質アスファルト

improved asphalt, modified asphalt

ストレートアスファルト

straight asphalt

プレミック

premix

プラントミックス

plant mix

高粘度改質アスファルト

high viscosity modified asphalt

エポキシアスファルト
epoxy asphalt

熱硬化性アスファルト
thermo-hardening asphalt

熱硬化性樹脂入りアスファルト

asphalt with thermosetting polymer

脱色アスファルト

decolorized asphalt

アスファルトセメント

asphalt cement

ビチュメン

bitumen(英)

天然アスファルト

natural asphalt

トリニダッド(レーク)アスファルト

Trinidad (lake) asphalt

レーキアスファルト,レイクアスファルト

lake asphalt

トリニダッドエピュレ

Trinidad epure

ロックアスファルト

rock asphalt

オイルサンド

oil san

ブローンアスファルト

blown asphalt

セミブローンアスファルト

semi blown asphalt

アスファルタイト

asphaltite

サンドアスファルト

sand asphalt

ブローイング

blowing

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