建設用語小辞典

わだち掘れ

意味

主としてアスファルト混合物が、夏期の高温時に軟らかくなって自動車の荷重により、流動するように動いて生じます。流動現象(難しく塑性流動と言うこともあります。)の一つです。摩耗によるものもあって、スパイクタイヤの禁止により減少していますが依然としてアスファルト舗装の泣き所になっています。流動によるわだちと摩耗によるわだちを区別して流動わだち、摩耗わだちということがあります。わだち掘れに耐えるようにすると硬くなりすぎてひび割れができやすくなったりします。気がついている人も多いと思いますが、わだち掘れは交差点近くのように車が長く停止したり低速になったりするところではひどくなります。粘弾性という言葉があって、弾性的な性質と粘っこい流体のように力をかけるとじわじわと変形する性質のことをいいますが、アスファルトは典型的な粘弾性物質です。交差点近くのように長く車が乗るとじわじわと変形するという性質があるわけです。また、じわじわと戻る性質もあるのですが、完全には戻らず、少しずつたまってわだち掘れになるというわけです。車が速くても起こっていますが、顕著なのが交差点近くとか料金所近くというわけです。もう少し詳しく言うと、わだち掘れは混合物が、施工した段階では完全に締め固められていなくて、空隙率が7%近くあるわけですが、これが荷重がくり返しかかってで空隙がつぶされる圧密によるものと、材料が側方に移動する、これが流動ですが、側方流動によるものがあります。アメリカでは側方流動は shear flowと呼んでいます。施工のときに完璧に締め固めれば良いのかというと、そうではなくて、圧密が起こっている間は側方流動は起こりません。強い混合物では、何年もの間、圧密しか起こらないようです。圧密はわだち部以外でもある程度は生じますし、量としてはあまり大きくありません。極言すると、アスファルト舗装は空隙があるからわだち掘れを防げていて、最初から完全に締め固まっていると直ちに側方流動が始まるということになります。最近のアメリカの大規模な試験道路での報告も、そういう結果になっているようです。

英語

rut,rutting

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