建設用語小辞典

矢板(やいた)

意味

掛け矢板

土留め(どどめ)や止水のために地中に打ち込む木材の厚板あるいは鉄板状の杭です。コンクリート製もあります。使用目的により形はさまざま。普通は垂直に打ち込みますが、トンネル工事では地山(じやま)が悪い場合、掘削に先だって矢板を支保工(しほこう)と地山間にほぼ水平に打ち込んで崩落を防ぎながら掘削します。つまり先普請です。地山が比較的いい場合は掛け矢板と言って支保工の上で少しずつ重なるように、打ち込みますが、悪い場合はもう少し斜め方向に大部分が重なるよう、上下には少し隙間をあけて打ち込みます。これを縫地(ぬいち、ぬいじ)と言います。

縫地

地山の圧力に耐える力が増します。縫った矢板で地山を支えておいて下を掘っては支保工を建て込むことをくり返すわけです。掘り進んでいくと、矢板の矢尻が覆工する場所に突き出て来るので、切断すると矢板がゆるんだりするので返しパッキングとか、矢返しとかの、くさびを打ち込んで地山を押しつけます。もっと大がかりなのが先受け工で、英語では縫地と同じくフォアポーリングです。フォアパイリングとも言います。竿:ポールを打ち込むか杭みたいなパイルを打ち込むかの違いでしょう。パイルの方が太そうです。5m以上の長さのは長尺先受工法ということになるようです。掘進する前方の地山をいろいろなやり方で安定させます。矢板とか矢木を打ち込む縫地もそうですし、もっと長い100mもある鋼管を水平に打ち込んだり、3m以下くらいなら中空のパイプ状のボルトを打ち込んで地山を改良する注入材などを高圧で噴射して固める注入式フォアポーリングとか、鏡吹きつけで切羽を固めたりするのを総称します。中空ボルト程度でなく曲げ剛性の高い鋼管を並べるように打ち込んで屋根みたいなのを形成して掘削する工法は AGF (All Ground fastening)です。自立式矢板というのがありますが、深く打ち込んで、それだけで擁壁の役目をさせようというものです。これの英語を探して来た人がいましたが、見当もつきません。self retaining pile wall、sheet pile retaining wallくらいかな?と思いますが。

英語

lagging,sheet pile

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